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No.1386
これは色々問題があるなと思って没にしたイザカク……
#イザカク
イザカク慣れないせいで上手く書けんな
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イザナがいないから飯を食いに来ないか? と鶴蝶からメッセージが入り、武道は一も二もなく飛びついた。武道が従事する映画の仕事はやりがいはあれど金にならないことが多く、給料日を明日に控えた武道の腹は、すでに限界を訴えていた。
七時に来てくれ。との言葉通り、武道は七時ぴったりにイザナと鶴蝶が同居するマンションに着いた。ルーズなところのある武道としては満点の行動だ。ピンポンを押せば、しばらくの後にインターフォンから鶴蝶の声が聞こえてきた。
「よく来たな」
扉を開けて鶴蝶が笑う。その途端、嗅いだことのないスパイシーな香りが漂ってきて、武道は己も笑いながら、今日はどこの国のご飯? と鶴蝶に問いかけた。
武道が鶴蝶に食事に呼ばれるようになったのは、TENJIKUが起動に乗り始めてしばらく経った頃だった。
「施設で出す食事の味見をして欲しい」
と告げる彼に、やはり金欠で腹を空かせていた武道はありがたく思いながらも首を傾げた。TENJIKUには元捌番隊隊員達だけでなく、複数のスタッフがいる。ましてや鶴蝶はTENJIKU設立時からイザナと同居しており、わざわざ武道を呼ばずとも味見する人間はいるだろうと思ったからだ。
素直に電話口で問いかければ、オレも最初はそうしようと思ったんだけど。と苦笑混じりの答えが返ってきた。
TENJIKUには、日本国内で孤児院の運営とアウトリーチ型の支援を担当する部署と、国外で他のNPO法人や国際組織と連携し、現地の学校の設立や児童労働の解消などに取り組む部署がある。鶴蝶は主に前者に関わっているが、その孤児院には他国にルーツを持つ子供も多かった。ルーツに限らず環境の変化で食の細くなる子供は多く、栄養士達が子供のリクエストを聞くこともあるが、馴染みのない国の料理となると手を出しづらい。
そのことをもどかしく思った鶴蝶は、一念発起し己で作ってみることにした。幸い鶴蝶の趣味は料理であり、TENJIKUを立ち上げるとイザナが決めた時、もしもに備えて管理栄養士の資格も調理師免許も取得している。加えて今は輸入品もスーパーで購入できる時代だ。もちろん手軽に買えるものではないので他国の料理であっても日本の食品で代用し、各家庭固有の味になっていることも多い。しかしやってみなければ始まらない。
まずは灰谷兄弟のツテで、子供のルーツである国の料理を扱った飲食店の店主を紹介してもらう。子ども好きだという店主は己の出身地方のものではあるが。と前置きした上で、複数のレシピを教えてくれた。そしてその足で輸入品スーパーへ向かった鶴蝶は、食材を購入して帰路につくと、早速料理を作り始めた。その日は休日だったので、調理する時間は十分にあったのだ。一通りのレシピを試し終えた鶴蝶は、テーブルの上で湯気を立てる料理を見てハッとした。
繰り返すが、TENJIKUには日本国内で活動する部署と国外で活動する部署がある。鶴蝶と同居するイザナは後者の仕事で一ヶ月ほど海外におり、武藤もイザナと一緒に出張中だ。ならば望月と斑目はといえば、彼らは彼らで今日は孤児院に泊まることになっていた。差し入れを。とも思ったが、子供の頃から付き合いのある者たちならともかく、他のスタッフに作り慣れていない料理を食べさせるのも気が引けた。
つまりはあれやこれやと作った料理を消費する術がない。
そこで困り果てた鶴蝶が頼ったのが武道だ。
「呼んでおいてなんだが、食べられそうなものはあるか?」
「全部大丈夫だと思う。撮影で行ったことのある国のだし」
こちらも仕事の都合で他国の料理を食べ慣れていた武道は、鶴蝶にとって都合が良かった。
思ったよりも箸は進み、これなら子供でも食べやすいんじゃないか? こっちは美味しいけどちょっと辛いから大人向けじゃない? ビール飲むか? ありがたく頂戴します。ポン酒もあるぞ。などと料理についての会話も弾む。ついでにお互いの近況や中身があるとは言いがたいくだらない話にも花が咲き、結局料理は日持ちしそうなものを残して完食した。
後日、孤児院の子供にもそれらの料理を振る舞った鶴蝶は一定の効果を見出し、以来定期的に子供達のルーツの料理を作るようになった。
そして試作はもっぱらそれはイザナ不在の際に行われ、そしてもてなされるのは武道だ。
「今更だけど、オレばっか食べてて大丈夫?」
冷えた缶ビールのプルタブを引いて武道が言った。
「なんかいっつもイザナくんがいない時に呼ばれてる気がするんだけど」
いただきます。と缶ビールを差し出した武道に、己のそれを小さくぶつけ、鶴蝶は苦笑した。
「イザナはあんま食べないからな」
「元から食細かったもんね」
「TENJIKUの連中は施設で食べるし、エマちゃんはドラケンに悪いだろ」
天竺が東京卍會に吸収された後、イザナと鶴蝶、そして佐野家の交流が少しずつだが始まった。イザナと万次郎がその内心を否が応でも晒さねばならなくなったことや、真一郎がイザナに詫びたこと、そして抗争で怪我を負ったイザナと鶴蝶を佐野家が面倒を見たことなど、複数の要因が重なったが故に近付いた距離だった。特に同い年であることや、佐野家で料理を担当するエマと、料理を趣味とする鶴蝶は話があい、イザナや他の家族抜きでも会っていると聞く。
鶴蝶の言葉に武道は揚げ鶏を己の皿に移して首を傾げた。
「二人とも呼べば良いんじゃない?」
「そしたらマイキーがついてくるだろ」
「なんで?」
純粋な疑問であった。エマはすでに佐野家を出て、己の伴侶と二人暮らしだ。もちろんマイキーこと兄である万次郎との仲は良好であるし、彼女の伴侶である堅もマイキーとは仕事のパートナーとして信頼しあっている。だが四六時中一緒にいるわけではない。
「後で話聞いて拗ねるんだとよ。それで走りに影響出ても困るからって」
「わがまますぎない? いや知ってたけど」
「まあオレとしては賑やかな方が楽しいし、エマちゃんも色々持ってきてくれるから気にはならないんだが……イザナがな」
鶴蝶がため息を吐く。
「マイキーだけはこの家に上げんの嫌がるんだよ。向こうの家に自分が行くのは良いくせに、だ」
それを聞いて、武道が呆れたように呟いた。
「縄張り争いじゃん……」
「まあ似たようなことしてたからな」
言われてみればその通りだ。しかし東京卍會初代総長代理であった武道が許されていることを思うと、単純にイザナの気持ちの問題なのだろう。仲が良いとは言い難いが、仲が悪いとも言い難い二人の姿を思い出す。
「喧嘩するほどって言うからね」
「だなあ」
しみじみと呟きながら、武道は己の前に置かれたどんぶりに箸を伸ばす。少し太めの麺は弾力があり、味の濃いスープと良くあった。
「これおいしい」
「本当か? 子供向けに香辛料は控えめにしてみたんだが」
「良いと思う。でも香菜に癖あるかも」
「なしとありで二種類作るか」
「大変じゃない?」
「他のスタッフもいるから大丈夫だ」
鶴蝶は一度目の試みの後、継続的なイベントして行えるよう、しっかりと企画書を作り会議を通した上で予算と人員の確保をしてもらっている。むろん孤児院の食事は栄養や食べやすさ、食中毒の予防やアレルギー等、様々なことを考えられているので、スタッフには負担を強いることになる。そのためボーナスでの還元と休暇の融通がより効くようにすることを約束した。
なので、本当はこの試作は鶴蝶がしなくとも良いことだった。レシピの中には量を作るには不向きなものもあるし、香辛料の関係で子供には向かないものもある。それでも新しいレシピを見ると、鶴蝶は作りたくなってしまう。子供の頃、好奇心が疼くとヤクザの事務所であっても喧嘩を売りに行っていたが、大人になってからは我慢の効かなさがもう一つの趣味である料理に向いた。
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2024.04.24 18:54
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#イザカク
イザカク慣れないせいで上手く書けんな
イザナがいないから飯を食いに来ないか? と鶴蝶からメッセージが入り、武道は一も二もなく飛びついた。武道が従事する映画の仕事はやりがいはあれど金にならないことが多く、給料日を明日に控えた武道の腹は、すでに限界を訴えていた。
七時に来てくれ。との言葉通り、武道は七時ぴったりにイザナと鶴蝶が同居するマンションに着いた。ルーズなところのある武道としては満点の行動だ。ピンポンを押せば、しばらくの後にインターフォンから鶴蝶の声が聞こえてきた。
「よく来たな」
扉を開けて鶴蝶が笑う。その途端、嗅いだことのないスパイシーな香りが漂ってきて、武道は己も笑いながら、今日はどこの国のご飯? と鶴蝶に問いかけた。
武道が鶴蝶に食事に呼ばれるようになったのは、TENJIKUが起動に乗り始めてしばらく経った頃だった。
「施設で出す食事の味見をして欲しい」
と告げる彼に、やはり金欠で腹を空かせていた武道はありがたく思いながらも首を傾げた。TENJIKUには元捌番隊隊員達だけでなく、複数のスタッフがいる。ましてや鶴蝶はTENJIKU設立時からイザナと同居しており、わざわざ武道を呼ばずとも味見する人間はいるだろうと思ったからだ。
素直に電話口で問いかければ、オレも最初はそうしようと思ったんだけど。と苦笑混じりの答えが返ってきた。
TENJIKUには、日本国内で孤児院の運営とアウトリーチ型の支援を担当する部署と、国外で他のNPO法人や国際組織と連携し、現地の学校の設立や児童労働の解消などに取り組む部署がある。鶴蝶は主に前者に関わっているが、その孤児院には他国にルーツを持つ子供も多かった。ルーツに限らず環境の変化で食の細くなる子供は多く、栄養士達が子供のリクエストを聞くこともあるが、馴染みのない国の料理となると手を出しづらい。
そのことをもどかしく思った鶴蝶は、一念発起し己で作ってみることにした。幸い鶴蝶の趣味は料理であり、TENJIKUを立ち上げるとイザナが決めた時、もしもに備えて管理栄養士の資格も調理師免許も取得している。加えて今は輸入品もスーパーで購入できる時代だ。もちろん手軽に買えるものではないので他国の料理であっても日本の食品で代用し、各家庭固有の味になっていることも多い。しかしやってみなければ始まらない。
まずは灰谷兄弟のツテで、子供のルーツである国の料理を扱った飲食店の店主を紹介してもらう。子ども好きだという店主は己の出身地方のものではあるが。と前置きした上で、複数のレシピを教えてくれた。そしてその足で輸入品スーパーへ向かった鶴蝶は、食材を購入して帰路につくと、早速料理を作り始めた。その日は休日だったので、調理する時間は十分にあったのだ。一通りのレシピを試し終えた鶴蝶は、テーブルの上で湯気を立てる料理を見てハッとした。
繰り返すが、TENJIKUには日本国内で活動する部署と国外で活動する部署がある。鶴蝶と同居するイザナは後者の仕事で一ヶ月ほど海外におり、武藤もイザナと一緒に出張中だ。ならば望月と斑目はといえば、彼らは彼らで今日は孤児院に泊まることになっていた。差し入れを。とも思ったが、子供の頃から付き合いのある者たちならともかく、他のスタッフに作り慣れていない料理を食べさせるのも気が引けた。
つまりはあれやこれやと作った料理を消費する術がない。
そこで困り果てた鶴蝶が頼ったのが武道だ。
「呼んでおいてなんだが、食べられそうなものはあるか?」
「全部大丈夫だと思う。撮影で行ったことのある国のだし」
こちらも仕事の都合で他国の料理を食べ慣れていた武道は、鶴蝶にとって都合が良かった。
思ったよりも箸は進み、これなら子供でも食べやすいんじゃないか? こっちは美味しいけどちょっと辛いから大人向けじゃない? ビール飲むか? ありがたく頂戴します。ポン酒もあるぞ。などと料理についての会話も弾む。ついでにお互いの近況や中身があるとは言いがたいくだらない話にも花が咲き、結局料理は日持ちしそうなものを残して完食した。
後日、孤児院の子供にもそれらの料理を振る舞った鶴蝶は一定の効果を見出し、以来定期的に子供達のルーツの料理を作るようになった。
そして試作はもっぱらそれはイザナ不在の際に行われ、そしてもてなされるのは武道だ。
「今更だけど、オレばっか食べてて大丈夫?」
冷えた缶ビールのプルタブを引いて武道が言った。
「なんかいっつもイザナくんがいない時に呼ばれてる気がするんだけど」
いただきます。と缶ビールを差し出した武道に、己のそれを小さくぶつけ、鶴蝶は苦笑した。
「イザナはあんま食べないからな」
「元から食細かったもんね」
「TENJIKUの連中は施設で食べるし、エマちゃんはドラケンに悪いだろ」
天竺が東京卍會に吸収された後、イザナと鶴蝶、そして佐野家の交流が少しずつだが始まった。イザナと万次郎がその内心を否が応でも晒さねばならなくなったことや、真一郎がイザナに詫びたこと、そして抗争で怪我を負ったイザナと鶴蝶を佐野家が面倒を見たことなど、複数の要因が重なったが故に近付いた距離だった。特に同い年であることや、佐野家で料理を担当するエマと、料理を趣味とする鶴蝶は話があい、イザナや他の家族抜きでも会っていると聞く。
鶴蝶の言葉に武道は揚げ鶏を己の皿に移して首を傾げた。
「二人とも呼べば良いんじゃない?」
「そしたらマイキーがついてくるだろ」
「なんで?」
純粋な疑問であった。エマはすでに佐野家を出て、己の伴侶と二人暮らしだ。もちろんマイキーこと兄である万次郎との仲は良好であるし、彼女の伴侶である堅もマイキーとは仕事のパートナーとして信頼しあっている。だが四六時中一緒にいるわけではない。
「後で話聞いて拗ねるんだとよ。それで走りに影響出ても困るからって」
「わがまますぎない? いや知ってたけど」
「まあオレとしては賑やかな方が楽しいし、エマちゃんも色々持ってきてくれるから気にはならないんだが……イザナがな」
鶴蝶がため息を吐く。
「マイキーだけはこの家に上げんの嫌がるんだよ。向こうの家に自分が行くのは良いくせに、だ」
それを聞いて、武道が呆れたように呟いた。
「縄張り争いじゃん……」
「まあ似たようなことしてたからな」
言われてみればその通りだ。しかし東京卍會初代総長代理であった武道が許されていることを思うと、単純にイザナの気持ちの問題なのだろう。仲が良いとは言い難いが、仲が悪いとも言い難い二人の姿を思い出す。
「喧嘩するほどって言うからね」
「だなあ」
しみじみと呟きながら、武道は己の前に置かれたどんぶりに箸を伸ばす。少し太めの麺は弾力があり、味の濃いスープと良くあった。
「これおいしい」
「本当か? 子供向けに香辛料は控えめにしてみたんだが」
「良いと思う。でも香菜に癖あるかも」
「なしとありで二種類作るか」
「大変じゃない?」
「他のスタッフもいるから大丈夫だ」
鶴蝶は一度目の試みの後、継続的なイベントして行えるよう、しっかりと企画書を作り会議を通した上で予算と人員の確保をしてもらっている。むろん孤児院の食事は栄養や食べやすさ、食中毒の予防やアレルギー等、様々なことを考えられているので、スタッフには負担を強いることになる。そのためボーナスでの還元と休暇の融通がより効くようにすることを約束した。
なので、本当はこの試作は鶴蝶がしなくとも良いことだった。レシピの中には量を作るには不向きなものもあるし、香辛料の関係で子供には向かないものもある。それでも新しいレシピを見ると、鶴蝶は作りたくなってしまう。子供の頃、好奇心が疼くとヤクザの事務所であっても喧嘩を売りに行っていたが、大人になってからは我慢の効かなさがもう一つの趣味である料理に向いた。
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