No.2371

イザカクは表にあるのを見てもらえればサンプルになるやろ。

ってことでアガガプサンプル
ここには出てないけどギャリーもいる。
ページ数の関係でざっくり削るかもしれんけど、無配なので許して欲しい。





 電車に揺られているうちに、このまま家へ帰ることに嫌気がさした。なにせ吾妻はここ数ヶ月、多忙な日々が続いていたのだ。ようやく大きな案件に区切りがつき、明日からの休暇をなんの憂いもなく過ごせるようにはなったものの、私生活を犠牲にしていたため部屋が荒れている。ここ数週間はゴミも満足に捨てられていない。客との打ち合わせで失礼のないよう臭いには気を使っているが、それでも最近は玄関を開けた瞬間に不快な生活臭がするようになってしまった。休暇中にどうにかするつもりではあるが、寝不足気味の頭で掃除洗濯のことを考えるだけでうんざりとする。
 吾妻はため息をつくと、スマートフォンで時間を確認した。幸いにも時刻は午後七時を過ぎたところで、終電にはたっぷりと時間がある。夕飯はコンビニで適当な物を買って済ませる気でいたが、すっかりとその気持ちはなくなっていた。
 自宅の最寄り駅とは違う駅で乗り換えると、吾妻は馴染みのバーに足を向けた。小さいが充実した音響設備とステージを備えた店で、世界的に名の知れた音楽家であるアムドゥスキアスがマスターを勤めている。年数回のイベント時には立ち見も出るほどの人気店だが、ステージの照明が灯されるかはマスターの機嫌次第であるため、普段はアムドゥスキアスの音に惹かれた者たちや、多種多様な酒と料理を思い思いに楽しみたい者たちが集まる店となっている。
 吾妻がベルを鳴らしながら店のドアを開けると、カウンターで客をあしらっていたアムドゥスキアスが「あら」と呟いた。
「久しぶりじゃない。一人だなんて初めてね。別れたの?」
 とんだお言葉である。
 吾妻はわずかに眉間に皺を寄せると、適当に何か食べて帰れる店がここしか思いつかなかったんで。と返した。
「それと、別れてないから」
 忙しいだけ。と棘の隠せぬ声でそう言うと、吾妻は店員に案内されたカウンター席についた。アムドゥスキアスから渡されたおしぼりで手を拭いて、度数の低い甘めのカクテルと、チーズとハムの盛り合わせを頼む。ざわざわと引いては寄せる波のように店内に満ちているのは人の声だ。アムドゥスキアスはアムドゥスキアスなりの理論と理由に従って音を奏でる。それはたった一音でも他者を虜にするには十分であり、であればノイズとなるようなBGMが店内に流れることはない。さらにアムドゥスキアスが己のクィア性を隠さないため、店内にはある種の開放感が満ちている。吾妻が同性の恋人のことを隠さずにいるのもそのためだ。


エロはフェラくらいしかないです。
酒と疲れで勃ちの悪い吾妻と、そんな吾妻の世話をいらんところまで焼く賀風がいます。
当日は身分証明書の提示をお願いします。取り置きの方にも身分証明書の提示を求めますのでご了承ください。
Web再録はしないです。

▲たたむ

Powered by てがろぐ Ver 4.1.0.





index