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No.3609
ウルデプ進捗。
定期的に薬を盛られるてキレる話書かないと気が済まない。また書いた。何回目だ……。
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咽せ返るような血の匂い。薬物を摂取した者に特有の不快な体臭。
それらの発生源であるローガンは、己の身体をアダマンチウムの爪で突き刺した。天然の檻に地の底から響くような唸り声が反射する。TVAのタイムパッドによって見つけた山奥の洞窟に、ローガンの他に人気はない。それどころか酷い血臭にも関わらず、野犬どころか虫の一匹すら近寄らない。氷点下ではローガンから溢れ出した湯気の立つ流血すら、すぐに凍ってしまうからだ。
ローガンはまつ毛に降りた霜を落とすが如く瞬きをした。このままでは己の鼻も両手足の指も、それどころか全身壊死してしまうだろう。そうと分かっていながら動かなかった。壊死しても良いと思っていたからだ。ローガンのヒーリングファクターは二百年以上前からまるで衰えておらず、薬が抜けさえすれば『己の』アースに帰って暖かな部屋で壊死が治るのを待てば良い。そう思っていたからだ。
どうせなら意識も手放してしまいたかったが、過去、己がしたことを思えば万が一を考えて出来なかった。このアースはローガンが偶然辿り着いただけの場所だ。
壊したいものはない。
ややもすれば上がりそうになる息を整えて、ローガンは大きく息を吐いた。いっそ全身凍ってしまえば動けなくなるだろうか。そんなことを考えた時、ふと空気が揺らいだ。
鼻を掠めた匂いに、まさか。と目を見張った。けれどタイムパッドよる光の扉が現れた瞬間、ローガンはその先にいる存在を確信した。
「……ウェイド」
ローガンが呟いた己の名前に被せるように、ウェイドの軽口が始まった。
「ヤッホークズリちゃん。一日ぶり。元気してた? してないね。TVAのタイムパッド盗んで他のアースに逃げた。って聞いた時はびっくりしたけど、この状況見たら納得。匂いすごいね。アルがいたらこれだけで天国にイっちゃいそう」
ホルスターから銃を抜き、トリガーに指をかけたウェイドは、軽口を止めずにローガンに近付いた。サクサクと凍った土を踏み締める音がする。
「というかこの状態でよく俺ちゃんに気付けたね。匂い? それとも愛かな。両方かも」
銃口がローガンの顎に触れ、そのまま銃身で掬い上げるようにぐいと顔を持ち上げられた。
「目、ほとんど見えてないでしょ。一回凍った? それとも失血で血が回ってない? まあどっちにしろ怒るけど」
「怒るのか」
「怒るでしょ。あんただって俺が同じ状態になったら怒るだろ」
怒るに決まっている。ウェイドだけではない。アルが、あるいはローラが、理不尽に体に害を与える薬を摂取する事態になったらローガンは怒る。
そう考えて、ローガンは顔を上げた。狭まった視界でも、ウェイドの顔がどこにあるかくらいは予想がつく。この短い間に銃と髭が凍って癒着したのか痛みが走ったが、そんなことは気にならなかった。
「……血の匂いがするな」
己の血臭と体臭、そして薬物の匂いが満ちている為に、馬鹿になった鼻では気が付かなかった。己のものでもウェイドのものでもない、複数の血の匂いがする。
TVAからの今回の依頼はローガンにのみ押し付けられたもので、昨日まで同じくTVAの依頼で別のアースを走り回っていたウェイドから、新鮮な血の匂いがするのはおかしなことだ。
ローガンの言葉にウェイドが笑った気配がする。同時に銃が引き抜かれ、ローガンの頭が重力に従って地面に落ちた。
「あんた探すために何人かボコったからね。
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2025.01.23 12:44
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定期的に薬を盛られるてキレる話書かないと気が済まない。また書いた。何回目だ……。
咽せ返るような血の匂い。薬物を摂取した者に特有の不快な体臭。
それらの発生源であるローガンは、己の身体をアダマンチウムの爪で突き刺した。天然の檻に地の底から響くような唸り声が反射する。TVAのタイムパッドによって見つけた山奥の洞窟に、ローガンの他に人気はない。それどころか酷い血臭にも関わらず、野犬どころか虫の一匹すら近寄らない。氷点下ではローガンから溢れ出した湯気の立つ流血すら、すぐに凍ってしまうからだ。
ローガンはまつ毛に降りた霜を落とすが如く瞬きをした。このままでは己の鼻も両手足の指も、それどころか全身壊死してしまうだろう。そうと分かっていながら動かなかった。壊死しても良いと思っていたからだ。ローガンのヒーリングファクターは二百年以上前からまるで衰えておらず、薬が抜けさえすれば『己の』アースに帰って暖かな部屋で壊死が治るのを待てば良い。そう思っていたからだ。
どうせなら意識も手放してしまいたかったが、過去、己がしたことを思えば万が一を考えて出来なかった。このアースはローガンが偶然辿り着いただけの場所だ。
壊したいものはない。
ややもすれば上がりそうになる息を整えて、ローガンは大きく息を吐いた。いっそ全身凍ってしまえば動けなくなるだろうか。そんなことを考えた時、ふと空気が揺らいだ。
鼻を掠めた匂いに、まさか。と目を見張った。けれどタイムパッドよる光の扉が現れた瞬間、ローガンはその先にいる存在を確信した。
「……ウェイド」
ローガンが呟いた己の名前に被せるように、ウェイドの軽口が始まった。
「ヤッホークズリちゃん。一日ぶり。元気してた? してないね。TVAのタイムパッド盗んで他のアースに逃げた。って聞いた時はびっくりしたけど、この状況見たら納得。匂いすごいね。アルがいたらこれだけで天国にイっちゃいそう」
ホルスターから銃を抜き、トリガーに指をかけたウェイドは、軽口を止めずにローガンに近付いた。サクサクと凍った土を踏み締める音がする。
「というかこの状態でよく俺ちゃんに気付けたね。匂い? それとも愛かな。両方かも」
銃口がローガンの顎に触れ、そのまま銃身で掬い上げるようにぐいと顔を持ち上げられた。
「目、ほとんど見えてないでしょ。一回凍った? それとも失血で血が回ってない? まあどっちにしろ怒るけど」
「怒るのか」
「怒るでしょ。あんただって俺が同じ状態になったら怒るだろ」
怒るに決まっている。ウェイドだけではない。アルが、あるいはローラが、理不尽に体に害を与える薬を摂取する事態になったらローガンは怒る。
そう考えて、ローガンは顔を上げた。狭まった視界でも、ウェイドの顔がどこにあるかくらいは予想がつく。この短い間に銃と髭が凍って癒着したのか痛みが走ったが、そんなことは気にならなかった。
「……血の匂いがするな」
己の血臭と体臭、そして薬物の匂いが満ちている為に、馬鹿になった鼻では気が付かなかった。己のものでもウェイドのものでもない、複数の血の匂いがする。
TVAからの今回の依頼はローガンにのみ押し付けられたもので、昨日まで同じくTVAの依頼で別のアースを走り回っていたウェイドから、新鮮な血の匂いがするのはおかしなことだ。
ローガンの言葉にウェイドが笑った気配がする。同時に銃が引き抜かれ、ローガンの頭が重力に従って地面に落ちた。
「あんた探すために何人かボコったからね。▲たたむ