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No.92
#ソンエリ
#リクエスト
リクエスト(同衾するソンエリ)です。ありがとうございました。
捏造過多。ルームシェアしてます。
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部屋の扉が開かれた。帰ってきたのは二人部屋を共有しているソーンズだ。予定日を数日過ぎての帰還である。ここ数週間ほどドクターについてサルゴンを動き回っていた彼は、目の下に隠しきれない疲労を滲ませていた。
「シャワーを浴びてくる」
そう言うが早いか、荷物を乱雑に床に置き、着替えを引っ張り出したソーンズは背を翻す。ベットで本を読んでいたエリジウムが慌てて「荷解きはしておくかい?」と尋ねると、振り向きもせずに「頼む」と言って部屋を出た。
バタン。と音を立てて扉が閉まる。エリジウムはしばらく閉まった扉を見つめていたが、やがてゆるゆるとソーンズの荷物に手を伸ばした。ソーンズの荷物は砂埃に汚れ、バックパックを開ければ日に焼けた砂の匂いがする。
エリジウムとソーンズがロドスの二人部屋で同居を始めたのは数ヶ月前のことだ。他組織との連携による外部オペレーターの増加や鉱石病患者受け入れの拡大を経て宿舎の改装が決まり、同時に幾組かのルームシェアが募集されたのだ。それまで予備隊以外は一人部屋を使っていた為なかなか募集は埋まらなかったが、恋人同士となって一年が経過していた二人は丁度いいタイミングだからと手を挙げた。
とはいえ二人が恋人であることを誰にも明かしていないので、名目上は友人同士のルームシェアだ。ロドスには様々な種族や出身地の者が暮らしており、中には異なる種族間での恋愛や、同性愛者に強い偏見や差別感情を抱く者もいる。とはいえ何も言わなければ異性愛者として見られてしまうからか、今のところ恋愛関係を疑われたことはない。
むしろ、二人でいると何かと騒ぎを起こしがちなので、そちらを心配されがちだ。確かに同居を始めてから酒に飲まれてしまったことはあるし、種族や育ちによる生活習慣の違いから多少の小競り合いも起こしたが、今のところは概ね順調にやっている。
エリジウムは荷解きをしながらひとつ伸びをした。無駄を嫌うソーンズの荷物はエリジウムが遠征に出かけるときよりもずっと少ない。ものの十数分で片付けを終わらせると、エリジウムは最後に通信機器を手に取った。小さなそれは、以前エリジウムがソーンズに与えたものだ。サルゴンという土地の特性上、防ぎきれなかった砂汚れが付着している。ソーンズが部屋に戻ってきたらメンテナンスをしてもいいか尋ねようと考えて、エリジウムは荷物から落ちた砂埃を掃除するために立ち上がった。
ソーンズが帰ってきたのはそれからもう三十分ほど経った頃だ。
掃除を終えたエリジウムはすでにベッドの上で本を読む作業に戻っており、眠さのせいか足元が覚束ないソーンズを見て「遅かったね」と告げた。
「医療部に捕まってな。荷解きを任せて悪かった」
と、その言葉は半分ほどが欠伸に取って変わられる。何の気なしに眺めていれば、ソーンズがエリジウムにのしかかってきた。
「今日はシャワー浴びてないから自分のベッドで寝たほうが良いよ」
ロドスが砂漠地帯に滞在中は水の使用制限がかかるため、休暇中のオペレーターはシャワーなどを出来る限り控えている。エリジウムも今日はシャワーを浴びず、身体を軽く拭くだけで眠るつもりであったが、任務の汚れをさっぱりと落としたソーンズに抱きつかれれば気になりもする。
しかしソーンズは眠気の滲んだ声で「構わない」と言って、エリジウムの肩口に顔を寄せた。
「それなら良いけど」
と告げて、エリジウムもソーンズの背中に手を回す。シャンプーの匂いがする髪がエリジウムの頬をくすぐった。ホコホコと温かい身体からエリジウムにも眠気が押し寄せてくる。
「そういえば」
とエリジウムは小さく独りごちた。けれど抱きしめあっていれば、その言葉もソーンズに拾われてしまう。「どうした?」聞かれて、その律儀さに申し訳ような、嬉しいような気持ちでエリジウムは答えた。
「おかえりって言ってないと思ってさ」
と告げると、ソーンズが納得がいったように頷いて「ただいま」と言った。
エリジウムは彼のその言葉を聞くと、どうしてか、少しだけ泣きたくなる。
ソーンズには気難しい部分があり、一緒にいて疲れる時も、一人になりたい時も、彼の長期の任務で一人になってほっとする時もある。イベリア出身のリーベリとエーギルであれば、一生をかけても埋まらない溝を実感し、逃げ出したくなる時もある。
けれど同居をして初めてソーンズが任務から帰ってきた時、ただいま。と告げる彼を見て、エリジウムはひどく安心した。
安心してしまったのだ。
「おかえり」
数ヶ月一緒に暮らしても、まだぎこちないそれを待っていたように、ソーンズの力が抜けて、やがて規則正しい寝息が聞こえてきた。
おかえり。ともう一度繰り返し、エリジウムは目を閉じて、ソーンズの髪に鼻を埋めた。
洗い立てのソーンズの髪からは、石鹸の匂いに混じって、どこか懐かしい、塩辛い匂いがした。
▲たたむ
2023.09.26 00:45
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リクエスト(同衾するソンエリ)です。ありがとうございました。
捏造過多。ルームシェアしてます。
部屋の扉が開かれた。帰ってきたのは二人部屋を共有しているソーンズだ。予定日を数日過ぎての帰還である。ここ数週間ほどドクターについてサルゴンを動き回っていた彼は、目の下に隠しきれない疲労を滲ませていた。
「シャワーを浴びてくる」
そう言うが早いか、荷物を乱雑に床に置き、着替えを引っ張り出したソーンズは背を翻す。ベットで本を読んでいたエリジウムが慌てて「荷解きはしておくかい?」と尋ねると、振り向きもせずに「頼む」と言って部屋を出た。
バタン。と音を立てて扉が閉まる。エリジウムはしばらく閉まった扉を見つめていたが、やがてゆるゆるとソーンズの荷物に手を伸ばした。ソーンズの荷物は砂埃に汚れ、バックパックを開ければ日に焼けた砂の匂いがする。
エリジウムとソーンズがロドスの二人部屋で同居を始めたのは数ヶ月前のことだ。他組織との連携による外部オペレーターの増加や鉱石病患者受け入れの拡大を経て宿舎の改装が決まり、同時に幾組かのルームシェアが募集されたのだ。それまで予備隊以外は一人部屋を使っていた為なかなか募集は埋まらなかったが、恋人同士となって一年が経過していた二人は丁度いいタイミングだからと手を挙げた。
とはいえ二人が恋人であることを誰にも明かしていないので、名目上は友人同士のルームシェアだ。ロドスには様々な種族や出身地の者が暮らしており、中には異なる種族間での恋愛や、同性愛者に強い偏見や差別感情を抱く者もいる。とはいえ何も言わなければ異性愛者として見られてしまうからか、今のところ恋愛関係を疑われたことはない。
むしろ、二人でいると何かと騒ぎを起こしがちなので、そちらを心配されがちだ。確かに同居を始めてから酒に飲まれてしまったことはあるし、種族や育ちによる生活習慣の違いから多少の小競り合いも起こしたが、今のところは概ね順調にやっている。
エリジウムは荷解きをしながらひとつ伸びをした。無駄を嫌うソーンズの荷物はエリジウムが遠征に出かけるときよりもずっと少ない。ものの十数分で片付けを終わらせると、エリジウムは最後に通信機器を手に取った。小さなそれは、以前エリジウムがソーンズに与えたものだ。サルゴンという土地の特性上、防ぎきれなかった砂汚れが付着している。ソーンズが部屋に戻ってきたらメンテナンスをしてもいいか尋ねようと考えて、エリジウムは荷物から落ちた砂埃を掃除するために立ち上がった。
ソーンズが帰ってきたのはそれからもう三十分ほど経った頃だ。
掃除を終えたエリジウムはすでにベッドの上で本を読む作業に戻っており、眠さのせいか足元が覚束ないソーンズを見て「遅かったね」と告げた。
「医療部に捕まってな。荷解きを任せて悪かった」
と、その言葉は半分ほどが欠伸に取って変わられる。何の気なしに眺めていれば、ソーンズがエリジウムにのしかかってきた。
「今日はシャワー浴びてないから自分のベッドで寝たほうが良いよ」
ロドスが砂漠地帯に滞在中は水の使用制限がかかるため、休暇中のオペレーターはシャワーなどを出来る限り控えている。エリジウムも今日はシャワーを浴びず、身体を軽く拭くだけで眠るつもりであったが、任務の汚れをさっぱりと落としたソーンズに抱きつかれれば気になりもする。
しかしソーンズは眠気の滲んだ声で「構わない」と言って、エリジウムの肩口に顔を寄せた。
「それなら良いけど」
と告げて、エリジウムもソーンズの背中に手を回す。シャンプーの匂いがする髪がエリジウムの頬をくすぐった。ホコホコと温かい身体からエリジウムにも眠気が押し寄せてくる。
「そういえば」
とエリジウムは小さく独りごちた。けれど抱きしめあっていれば、その言葉もソーンズに拾われてしまう。「どうした?」聞かれて、その律儀さに申し訳ような、嬉しいような気持ちでエリジウムは答えた。
「おかえりって言ってないと思ってさ」
と告げると、ソーンズが納得がいったように頷いて「ただいま」と言った。
エリジウムは彼のその言葉を聞くと、どうしてか、少しだけ泣きたくなる。
ソーンズには気難しい部分があり、一緒にいて疲れる時も、一人になりたい時も、彼の長期の任務で一人になってほっとする時もある。イベリア出身のリーベリとエーギルであれば、一生をかけても埋まらない溝を実感し、逃げ出したくなる時もある。
けれど同居をして初めてソーンズが任務から帰ってきた時、ただいま。と告げる彼を見て、エリジウムはひどく安心した。
安心してしまったのだ。
「おかえり」
数ヶ月一緒に暮らしても、まだぎこちないそれを待っていたように、ソーンズの力が抜けて、やがて規則正しい寝息が聞こえてきた。
おかえり。ともう一度繰り返し、エリジウムは目を閉じて、ソーンズの髪に鼻を埋めた。
洗い立てのソーンズの髪からは、石鹸の匂いに混じって、どこか懐かしい、塩辛い匂いがした。
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